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バイリンガル・トリリンガルとは? 子どもをマルチリンガルに育てる方法

公開日:2022/07/01
更新日:2022/07/01

小学校では英語が必修科目となりました。そのような背景もあり、将来的に子どもが世界に羽ばたくことを視野に入れ、バイリンガルやトリリンガルなどマルチリンガルに育てたいと早期から行う英語教育に興味を持つ親も増えています。そこで、この記事では「バイリンガル、トリリンガル、マルチリンガルとは何か」「早期英語教育を行うメリット」「どのように子どもをマルチリンガルに育てれば良いのか」などについて解説します。

1.バイリンガル・トリリンガル・マルチリンガルの違いとは?

バイリンガル(Bilingual)、トリリンガル(Trilingual)はいずれもラテン語が由来となっています。「Bi」は「2」、「Tri」は「3」を表わし、「lingual」は「言葉」という意味です。つまり、バイリンガルは英語と日本語など2カ国語を話す人、トリリンガルは3カ国語を話すことができる人を指します。ちなみに、4カ国語話す人はクァドリンガル(Quadrilingual)、5カ国語を話す人はペンタリンガル(Pentalingual)です。3カ国語以上話す人に関しては、マルチリンガル(多言語)という呼び名もあります。

2.バイリンガルやトリリンガルになるメリット

ここでは「バイリンガルやトリリンガルになるとどのようなメリットを得ることができるのか」について詳しく見てみましょう。

2-1.将来の選択肢が広がり国際的に活躍できる

英語やそのほかの外国語を話すことができるようになると仕事の選択肢が増えるため、海外で働くチャンスを得る可能性もでてきます。日本国内だけでもさまざまな職業がありますが、世界に目を向ければその国ならではの仕事もあるでしょう。つまり、将来的に子どもが自分に合ったやりがいのある仕事を見つけるチャンスもそれだけ増えると言えます。 2020年には、英語の共通テストがスタートしています。このテストではこれまでの「読む」「聞く」といった問題に加え、「話す」「書く」という技能面のテストも行われるようになりました。そのため、英語対策にもしっかりと力を入れる必要があります。しかも、早期から英語教育を行い、バイリンガルやトリリンガルとして自然に複数の言語を話すことができれば、大学入試の際にもほかの生徒に差をつけることが可能です。

2-2.希少な人材として重宝される

日本でも授業で英語を学びますが、バイリンガルのように英語を話せる人は少ないというのが現状です。そのため、英語を話すことができれば、職場でも重宝されます。トリリンガル、クァドリンガルとなればさらに貴重な存在として、就職面で有利になったり、収入がアップしたりすることも期待できるでしょう。 英語教育に力を入れ始めている日本だからこそ、将来的に英語を話すことができる人口は増える可能性が高いです。そのため、より就職面で有利になるためにはトリリンガルやクァドリンガルを目指すのもひとつの方法と言えます。世界的には英語、中国語、スペイン語を話す人口が非常に多いため、これら3言語をマスターできれば世界の3分の1の人々と会話することが可能です。ただ、いずれそういった人物を目指すとしても、基本として世界共通語といわれている英語を話すバイリンガルになることが前提です。

2-3.脳の活性化による学習能力の向上が期待できる

マルチリンガルはモノリンガル(1言語のみを話す人)と比較すると、認知能力の高さが認められています。これは、マルチリンガルが複数言語を学ぶ際に認知能力や柔軟な思考が鍛えられているからだといわれています。たとえば、複数言語を学ぶとき、新しい単語に出会う度に「それまで感じたことがなかった感覚を知る」「新しい発声方法によって、動かす筋肉が変わる」など、常に学習しています。そのため、脳も日々活発に働き、衰えにくくなっていると言えるでしょう。

2-4.ほかの言語も習得しやすくなる

外国語を習得している場合、ほかの外国語に対する抵抗感が少ないので学習をスムーズに進めることができるというメリットがあります。さらに、複数言語を学習することでそれぞれに良い影響を与え、相乗効果で知識が深まる点は大きなメリットです。たとえば、英語を話すバイリンガルが文法の似ているドイツ語も学ぼうとした場合、新しい単語を覚える際に自然と英語に置き換える癖がつく反復学習になる傾向があります。すでに身についている英語と新しく学んだドイツ語が結びつくことで脳に強く記憶され、学習能力アップにつながるというわけです。

2-5.コミュニケーションの機会が増えて視野が広がる

「バイリンガルやトリリンガルなど、複数の言語を話せる人は、そのぶん多くの人と話すことができる」ということです。世界には英語話者が約15億人いるといわれており、そのうち75%が英語を第2言語にしています。英語を外国語としている習得している人が世界中にいるため、気軽に会話をするきっかけにしやすいでしょう。また、たとえばフランス語を学ぶことでフランス人やフランス語圏の人々とコミュニケーションをとり、より深くその国の文化を知ることにつなげることができます。バイリンガルやトリリンガルになると、さまざまな国の文化に触れることができるため、世界レベルで視野を広げることが可能です。

3.早期のバイリンガル・トリリンガル教育は日本語習得に影響する?

幼児期は日本語もまだはっきりしておらず、その時期に英語を教えてしまうと、日本語の発達に影響が出るかもしれないと心配する親の声も少なくありません。ただ、世界人口の約50%はバイリンガルもしくはマルチリンガルという事実があり、そういった人々の多くは言語に関する問題を抱えていません。そのため、幼児期に英語を学び始めたとしても日本語に悪影響が出る可能性は低いのです。

ただ、2カ国語を同時に学ぶ際には脳内で2つの言語が細分化されたうえで学ぶため、人によっては日本語習得の遅れが出る可能性もないとは言えません。しかし、日本語の習得に関しては英語を学んでいなくても子どもによって個人差がでます。日本語習得の遅れが出たとしても半年~1年程度と考えられており、重大な問題にはなりづらいので深く気にする必要はないでしょう。バイリンガルの子どものなかには漢字が苦手な子もいるため、親がフォローすることが大切です。

4.なぜ日本はバイリンガルが少ない?世界の言語習得の違い

世界の半分近くの人々はバイリンガルやマルチリンガルです。しかし、日本人はモノリンガルが多く、バイリンガルが少ない傾向にあります。それは、世界各国との語学学習の違いがあるからです。ここでは、バイリンガルが多い欧州の語学学習と日本の言語習得に関する違いについて解説します。

4-1.日本で英語の学習がスタートするのは小学校

親世代は、中学校から英語の授業が始まった人も多いのではないでしょうか。しかし、中学校から英語学習を始めてもバイリンガル並みに習得するのは難しいものです。そこで、海外でも通用する人材の育成を目指し、2020年の教育改革によって日本でも英語教育の低年齢化が決まりました。「小中高の新学習指導要領」によって、小学3~4年生にかけて英語が必修化、小学5~6年生で教科化されています。

「読む」「聞く」「話す」「書く」と全方面から習得することで、英語で世界の人々とコミュニケーションができる力を早期から身につけることも可能です。親世代では当たり前だったいわゆる受験英語を学ぶ機会は減り、今後は実際に使うことができる英語力を伸ばす授業になっていくと考えても良いでしょう。

4-2.ドイツは小学校1年生で英語、5年生から第二外国語

ドイツには移民が多く、家庭内でもさまざまな言語が飛び交っていることも珍しくありません。そのため、複数の言語を日常生活のなかで自然と学び、話すようになります。それだけではなく、2003年以降、小学1年生から英語の授業が行われており、小学5~6年生になると第二外国語としてフランス語やイタリア語などを学ぶ学校も増えていることも理由のひとつです。さらに、8年生(日本の中学2年生)は、第三外国語を学ぶこともできます。ドイツでは小学校でも留年することがあり、英語もその判断に関わる教科です。そういった背景も影響し、ドイツの子ども達は高い英語力を持っています。

4-3.ヨーロッパが認める語学力の高さ!スイスは小学校で3か国語

スイスでは4つの公用語(ドイツ語とフランス語、イタリア語、ロマンシュ語)が話されています。そのため、少なくとも2カ国語を話すことができるようにしようという、国としての方針があるのが特徴です。ちなみに、ロマンシュ語はローマ時代からアルプス山間部で話されてきた古き言語を指します。

スイスでは小学校でドイツ語や英語、フランス語の授業が必須です。同じ国内でも州によって言語が違うスイスでは、第一外国語として母国語以外の公用語を学び、第二外国語として英語を学びます。そのため、バイリンガルが多い欧州のなかでも、スイス人は特に語学に堪能だと有名です。学校の授業で学ぶ以外に、母親がフランス語、父親がドイツ語というように家庭内で2カ国語が話されている場合も多く、幼い頃から多言語に慣れていることが英語の習得力の高さにつながっています。

5.子どもをマルチリンガルに育てる方法

ここでは、子どもをマルチリンガルにするために、どのような育て方をするべきなのかについてポイントを紹介します。

5-1.早期に外国語に触れさせる

幼児期(2~5歳頃)は脳細胞が活発に形成される時期であるため、さまざまなことを吸収しやすい状態です。さらに、この年齢の子どもは耳も良いので、日本人が苦手とする英語の発音の聞き分けもしっかりと学ぶことが期待できます。また、成長してから外国語を学ぶ場合は「間違えたらどうしよう」という不安な気持ちから、積極的に習得できなくなるケースも多いです。不安な気持ちが強いときはネガティブな感情になりやすく、英語を「苦手なもの」と無意識に分類してしまうため、習得がスムーズにできなくなってしまいます。

しかし、将来的に外国語を学ぶ前に英語やほかの外国語に触れる機会をつくれば、その後の語学学習にも抵抗感なく学習することができるでしょう。しかも、いざ英語以外の言語を学ぶようになったときには、相乗効果でスムーズに学習しやすくなります。バイリンガルを目指すためにも、まずは日本語能力をしっかりと身につけることが重要です。

5-2.幼稚園(学校)と家庭での言葉を分ける

子どもは、話す相手に合わせて言語を使い分けることができるといわれています。たとえば、フランス人の母親にはフランス語、ドイツ人の父親にはドイツ語で話すことが可能です。家庭内で2言語以上が日常的に使われていれば、その家庭で育った子どもは言語の使い分けが自然とできるようになります。しかし、日本では両親ともに日本人であることが多く、家庭内で話されている言語も日本語のみです。そのため、幼稚園(学校)など家庭とは違う場所で外国語を使う環境を作るのが効果的と言えます。幼稚園では英語、家では日本語で会話をするようにすれば、2カ国語をスムーズに習得できる可能性が高いです。

幼い頃に外国語を習得しやすくなるためのポイントは、1人が1言語を話すようにすることだといわれています。日本国内でも国際結婚の家庭では、両親のどちらかが外国語を話し、もう一方が日本語を話す環境になりやすいです。そのため、子どもはバイリンガルあるいはトリリンガルになる可能性も高くなります。両親のどちらかが英語話者であればバイリンガルに、そのほかの言語を話す国出身であれば「親の母国語+日本語+英語」の3カ国語を話すことができるようになるケースも多いです。このように「誰がどのような言語を話すのか」を明確にすることは、外国語を学ぶためのコツのひとつと言えるでしょう。

5-3.英語を使って子ども同士でコミュニケーションをとる

子どもは親よりほかの子ども(友達など)の言うことを素直に受け入れます。これは、子どもが親ではなく、友達とのコミュニケーションをより大切にする傾向があるからです。つまり、英語を習得するのであれば、家庭より英語を話す友達が多い環境で過ごす時間を増やすほうが効果的と言えます。友達と一緒に音楽・体操といったものを通し、楽しみながら英語学習ができるため、スムーズに言語を学ぶことが可能です。また、友達と集団生活を送る場合、言葉だけではなく、ジェスチャーや表情などを見て相手がどのような感情なのかを読み取る力も育てることが期待できます。

友達と英語で会話する側に、英語のネイティブスピーカー(教師)がいればより効果的です。英語の発音を覚えるのは成長してからでは苦労をすることも多いですが、水を吸い取るスポンジのような状態である幼児期ならば、正確な発音ができるようになる可能性も高くなります。未修得の言語を身に着けるために、その言語の環境に浸し、言語を教科としてではなく手段として他の教科や活動に用いる教育法を「イマージョン教育」と呼び、幼い頃から外国人教師や異文化に触れる環境で過ごすことが円滑なコミュニケーション能力の基礎作りにも効果的です。

バイリンガル・トリリンガルになるには環境を整えることが大切

子どもをバイリンガルやトリリンガルに育てるためには、幼児期から英語を学ぶ環境を整えることが大切です。幼児期は脳細胞の成長が活発なため、この時期に英語を学ぶことでネイティブスピーカーに近い発音や会話力の習得が期待できます。バイリンガル幼児園の「Kids Duo International」では、英語教育に加え、知能育成や運動指導など幅広い教育を受けることが可能です。入園説明会も行っているので、まずは問い合わせてみてください。

早期英語教育には、英語力を身につける以外にもさまざまなメリットが存在します。異文化理解を深め、自信をもって英語でコミュニケーションをとれるようになるために、幼少期から英語に触れさせていきたいものです。

学習法は、習い事や教材を利用するほか、英語のCD・DVDを流すなどさまざまな選択肢が存在します。ただ、一定以上の英語量に触れさせ、英語を話す環境下に身を置くとなると、「インターナショナル幼稚園」や「プリスクール」が最適かもしれません。

早期英語教育を中心とした独自のカリキュラムを採用しているのが、バイリンガル幼児園「Kids Duo International」。卒園までの4年間で約3,000時間を英語で過ごすため、英語教育に関心の高い保護者の方から注目を集めています。
40年間にわたって培われた教育カリキュラムでは、語学以外の面にも注力。バイリンガル講師とのコミュニケーションや知能教育のほか、クラスメイトとの遊びを通して英語圏と日本の文化に触れられるなど、日本語と英語をバランスよく学ぶことも大切にしています。

執筆者:バイリンガル幼児園Kids Duo International コラム編集部

※説明会は園舎ではない場所で実施される場合があります。